アパレルでもアパレル以外でも。小売に共通する売上を向上させるためのVMDとは?より商品を魅力的にみせることと手に取りやすく買いやすい商品配置は高さで決まる!
こんにちは。VMDコンサルタントの齋藤です。
VMDと聞くと「アパレル」のイメージがほとんどではないでしょうか。
店内の什器に対して綺麗に商品を飾り魅力的な店舗にすることをイメージしてしまうので=アパレルになりやすいのは確かです。
しかし、それ以外の薬局や飲食、はては和菓子屋さんなどにも取り入れられているんです。
それはなぜかというともともとVMDは確かにアパレルや雑貨などの小売からスタートし、日本には百貨店を軸として広まったからなのですが、現在ではさまざまな小売業でブランドや形態、取り扱い商品にフィットさせてVMDは組み込まれています。
広がるVMDの幅
現在ではアパレルVMD出身者のニーズが高まり広く小売業で活躍しています。
例えばウィンドウを持つ和菓子屋のシーズンウィンドウのディスプレイや、ドラッグストアでの商品陳列と什器、導線設計、バイクや車などの展示などにもVMDが取り入れられています。
ディスプレイの部分だけにスポットを当てると応用は少ないのですが、VMDは人間工学や心理学に基づいてできているのでその科学的根拠を軸にすればさまざまな業態の小売に対応できるのです。
さまざまな業態に対応できる科学的根拠
例えばドラッグストアーやスーパーなどに見られる棚什器での商品陳列は棚自体の奥行きが全て同じ垂直型の場合は850mm〜1500mmの高さが目に入りやすく手に取りやすいゴールデンラインとなり、張り出し型の下部に行くほど棚の奥行きがあるものは逆に850mmよりも下の棚が手に取りやすくなります。
これらは高さの基準としてターゲットにしている客層の平均身長、目線などにより対応し、子供がターゲットのお菓子やおもちゃなどであれば後者の引き出し型のような低い部分が手に取りやすいもの、成人がターゲットであれば垂直型、のようにターゲットの客層によって最適なものがかわります。
これらのVMD的なアプローチを軸にして売上を向上させるのですが、その要因は「視認性の向上」「接触回数の向上による購買率の向上」です。
アパレルのようにコーディネートや着こなしで魅力を上げるディスプレイもVMDですが、それ以外の商品でもこのようにVMD的な知識があれば売上の向上が見込めます。
目立たせる商品配置とは
先ほどは手に目に入りやすく手に取りやすいゴールデンラインについて説明しましたが、このラインに何をどのようにおいても目立つのか?と言われると答えは「否」です。
そもそも全ての什器が同じように設計されているコンビニやスーパー、ドラッグストアを思い出してもらうとわかりやすいのですが、「商品が多くて探さないと見つからない」状態だと思います。
当然全ての商品を同じゴールデンラインに配置したとしても同化して逆に目立たなくなることも。
そんな時に売りたい特定の商品を目立たせるテクニックとして、「違和感」があげられます。
人間は綺麗に並んでいて隙間もない状態ではそれらを全て「一つの塊」として認識してしまいます。
これはゲシュタルト心理学の「近接の要因」にて証明されており(下の画像を参照)、余白がない(もしくは少ない)配置は一塊と認識してしまうのでひとつひとつは認識されずらくなります。
そのために目立たせる「違和感」なのですが、作り方は簡単で
- 高さを変える(ステージを入れたり商品のパッケージ自体の高さを利用する)
- POPなどによる訴求
- 目立たせたい商品の左右に余白を作る(近接の解除)
などがあります。
このように記載すると意外と簡単なんですが、実際の陳列では「見た目の綺麗さ」を優先してまとまりすぎることが多々あるので気をつけましょう。
本来の目的は「視認性を高め、手に取りやすくして高倍率を上げる」であることを間違えないようにしましょう。
まとめ
商品をより良く見せる、目立たせる、手に取りやすい位置に売りたい商品を配置する。
以上の3点を基本として売り場作りを行い、「売れる売り場」というステージを整えるのがVMDです。
どんなに魅力的な商品でもステージが整っていないと本来の力は発揮されず、売上も下がってしまいます。そのポテンシャルを最大限に発揮するためのVMDをしっかりと学んで売り場作りに役立ててくださいね。