ECデータは、リアル店舗最大の武器になる

こんにちは、PLAY inc. の四元です。
前回は「売れるスタッフの行動をデータで読み解く」というテーマで、属人的な“感覚”ではなく、再現性のある接客の型をどうデータから導くかについて書きました。
今回は、いよいよ本題とも言える「ECにはどんなデータがあり、それをリアル店舗でどう活用できるのか?」という点を深掘りしていきます。
ECデータは、リアル店舗の「顧客の声」そのもの
そもそも、ECで得られるデータにはどんなものがあるのでしょうか?
皆さんがよく見ている「売上データ」や「アクセス数」だけではありません。
実はもっと価値のある、“顧客の行動の断片”ともいえるデータが蓄積されているのです。
たとえば:
- 検索キーワード:何を探していたか
- 商品ページの閲覧数・滞在時間:どれだけ興味を持たれたか
- カゴ落ち情報:興味はあったけど購入しなかった理由のヒント
- レビューや評価:購入者の本音や使用シーン
これらは、実際の店舗でお客様が「何かを口に出す前」の段階の情報です。
つまり、リアル店舗で接客する前に、お客様の“頭の中”を読むヒントがたくさん詰まっているということ。
ECデータで接客の「事前仮説」が立てられる
たとえば、こんな事例がありました。
事例①:検索キーワードから来店動機を読み解く
「軽い・洗える・出張用」で検索されているバッグ商品が、特定の月曜〜火曜に売上を伸ばしている。
→ 店舗でも「週初めに来店するビジネスパーソン向けの提案」として接客トークを設計。 → スタッフに“この商品は、出張帰り・準備のタイミングで来店される方に強い”と共有。
事例②:閲覧数は高いけど購入に至っていないトップス
→ 画像や表現が刺さっていない可能性がある。 → 店舗では、実際の着用シーンを想起させるVMDとスタッフコメントPOPを設置。 → オンラインで「見て終わった」人を、店頭で購入に引き上げる施策に。
このように、来店前の行動を仮説立てしておくことで、接客トークの“精度”が変わります。
売上データだけじゃない。ECの「隠れた宝」5選
- カゴ落ち情報: → 買う気があったのに買わなかった=何かが足りなかった。 → 店舗ではその“不安”や“比較検討ポイント”をトークで補う。
- 回遊商品: → 検索されてないのにたどり着いた商品=“気づき買い”の可能性。 → 店舗では、気づきを引き出すための「導線設計」を意識。
- レビューに登場するキーワード: → 商品理解を助ける“お客様の声”。 → POPや接客の中に、その“言葉”を入れていく。
- 曜日・時間帯別アクセス数: → 店頭の来店時間とリンクさせれば、ピーク施策に応用可能。
- 閲覧から購入までの平均時間: → すぐ買うのか、じっくり比較するのかで提案方法が変わる。
感覚でなく、データで接客を組み立てると何が変わるか?
最も大きいのは、再現性です。
「売れる人」だけが売れるのではなく、データを使って「この時間帯にこの商品を、こう伝える」という“接客の方程式”がつくれる。
教育にも強いインパクトがあります。
新人スタッフにも“型”を提供できる。 チームでPDCAを回す軸ができる。 属人的な成功を、チームの成果に変えられる。
そして、結果として売上の安定につながる。
感覚で動く世界に、ロジックと再現性を。 それを可能にするのが、ECデータという「見えないお客様の声」です。
次回の第4回では、 「顧客の“頭の中”を可視化する。データで読み解く来店動機」 について、さらに具体的に解説していきます。
お楽しみに!