接客の本質は「心の先回り」そのために顧客の「頭の中」を可視化する

データで読み解く“来店動機”の真実
こんにちは、PLAY inc. の四元です。
前回の第3回では、「ECにはどんな種類のデータがあり、それが店舗販売にどう活かせるのか?」というテーマで、検索ワード・閲覧傾向・購入傾向といった“顧客の思考のログ”の存在についてお話ししました。
今回はそこから一歩踏み込み、「来店前のお客様の“頭の中”を、どうやって読み解くか」について解説していきます。
「来店の理由」を見誤ると、すべてがズレる
現場でよくある会話です。
「今日は何をお探しですか?」 「いえ、特に……(商品を見ながらスルー)」
このやりとり、実は“会話が成立していない”状態です。
お客様の「本当の来店理由」は、言葉になっていないことが多い。 でも、ECデータはそれを教えてくれます。
ECは、来店前の「思考ログ」である
ECサイトでは、お客様の“思考の軌跡”が記録されています。
- どんな検索キーワードで流入したか
- どの商品ページをどのくらい見ていたか
- どの商品を「お気に入り」に入れたか
- どの商品をカートに入れて、やめたか
これらの情報を時系列で追うと、 「どんな悩みを持ち、どんな選択肢を検討し、なぜ買わなかったのか」 が、まるで顧客インタビューのように見えてくるのです。
たとえば:
30代ワーキングマザーが「撥水」「洗える」「ジャケット」と検索していた → 梅雨時期に“通勤服”としての機能性を重視している可能性が高い → 店頭では「これ1枚で雨の日も安心です」と提案を加える
データで“仮想ペルソナ”を設計する
このように検索キーワードや閲覧履歴は、接客前に「その人が何を期待して来ているか」を読み解く材料になります。
これをPLAYでは「来店前期待値」と呼んでいます。
たとえば:
- 「軽い スニーカー 疲れない」→ 歩き回る予定のある人
- 「黒 ワンピース 二の腕カバー」→ 体型に配慮したいニーズ
- 「就活 バッグ A4」→ 学生、新社会人向け用途
こうしたデータをもとに、商品ごとに「期待値ペルソナ」を設計しておくと、スタッフは接客時に“何を提案すべきか”を迷わずにすみます。
来店の目的を、POP・SNSに先回りして届ける
この「来店動機を予測する接客」は、接客時だけではなく「来店前」にも活用できます。
たとえば:
◉ECでよく検索されている「防水ジャケット」 → Instagramで「今年も急な雨に負けないコーデ紹介」
◉カート落ち率の高い「高価格帯パンプス」 → LINEで「今なら試着&相談だけでもOK」など心理的ハードルを下げる投稿
“検索の続き”を、SNSやメルマガで引き継ぐイメージです。
「来店したのに、何も買わなかった」の本質とは?
最後に、よくある“来店したけど何も買わなかった”というケースについて。
これは「接客が悪かった」だけではなく、 「お客様の来店動機に対して、何も答えられなかった」ことが原因である場合が多いのです。
データを使えば、
- 何を見に来たのか(=関心)
- どんな選択肢を考えていたか(=比較)
- 何を理由に買わなかったのか(=不安や不満)
これらの“見えない心の動き”が、見える化できます。
接客の本質は「心の先回り」
リアル店舗の強みは“体験”です。 でもその体験を、お客様の「頭の中」に合わせて設計できるかどうかが、 売れる店舗とそうでない店舗の分かれ目です。
「お客様は、今日なぜここに来たのか?」
この問いに、感覚ではなく“データ”で答えられるチームこそが、 今後の売場をリードしていくと、私たちは考えています。
次回のブログでは、いよいよ「ECデータから導き出すターゲット別接客戦略」へと進んでいきます。
次回もお楽しみに!