めっちゃ良く見える!?ディスプレイを際立たせるたった一つのこと

こんにちは。VMDコンサルタントの齋藤です。
突然ですが普段みなさんは買い物にいった際にどのような店舗を魅力的に感じますか?
商品陳列はもちろん内装や音楽に香りなどさまざまな要素が複合されて魅力的で心地の良い店舗は出来上がっています。
そんな空間を作る際に意外と忘れられがちな要素が「適切な余白」です。
なんやそんなもんか・・・と、思われるかも知れませんが自宅やオフィスでもぎゅうぎゅうに詰め込まれた空間では安らぎも魅力も感じないですよね。
それと同じことが店舗でも発生しています。
今回はそんな重要な「適切な余白」についてお伝えしていきます。
余白が必要な訳

なぜぎゅうぎゅうの空間に心地よさや魅力を感じないかというと、人間の脳は視覚から入った情報を処理するのに瞬間的な制御がかかるようにできています。
元々は7つ、近年は4つが瞬間的に認識できる限界と言われています。
例えば
▲▲▲▲▲▲▲▲
のように三角形があると連続した▲で一塊と認識して正確に数を理解するには時間がかかります。これが
▲▲▲▲
であれば4つの▲としてしっかりと認識できるので限界が4つといわれています。
このように物が詰まりすぎていたりしてひとつひとつの物として認識ができない状態を心理学的にはゲシュタルト崩壊、つまり情報過多で脳が整理しきれていない状態といいます。
普段の買い物でさまざまな店舗を見ているとぎちぎちに商品を展開している店舗よりも適切なゆとりのある店舗を見やすく買いやすいと認識するのはこのためです。
また、先に例を挙げた自宅やオフィスでものが多く心地よく感じないのは什器感の幅に関係する部分で人間工学的に大人一人が両方を壁に挟まれた状態で歩くのには600mmの幅が必要で、二人の場合は片方が半身になって900mm、横並びやすれ違いで避けたりしない場合は1200mmが必要とされています。
つまり、これ以下の空間では無意識で「ぶつかる」や「通れない」と感じているのでぎゅうぎゅうな空間は居心地が悪いと感じてしまうのです。
それを防ぐのが出店時に提出する平面図とそれを作成するにあたり決められたルール(レギュレーション)です。基本的には什器間は1200mm以上など余白の指定があり、このお客様同士のすれ違いや快適な買い物空間の創造に支障がないようにされています。
視覚からの情報処理を正常に処理できない、無意識での圧迫感を感じ入りたい、通りたいと思わないなどこれらを解決するのが「適切な余白」というわけです。
ディスプレイが映える余白とは

さて、タイトルのようにディスプレイを際立たせるのは適切な余白なわけですが、なぜ余白がディスプレイを映させるのかというと「ディスプレイをしても余白がないと認識されない」からです。
どんなにすばらしいディスプレイのテクニックを持っていてもぎっちぎちに詰められたディスプレイテーブルの上でおこなうと脳の短期記憶限界の4つを超えてしまい、結果「テーブルの上に商品がある」と一つの塊として認識されてしまうからです。
VMDよる入店促進の仕掛けとしてアイキャッチとしてディスプレイをしても近づいてよく見ないとわからないのでは意味がありません。
そもそもそこまで近づいてきてくれるならきっと目的があってはじめらか入店する意思がある方が多いと思われますのでVMD的にはまったくダメです。
そこで先ほどの▲で説明したことが活きてくるのですが、どういうことかと言うと。
▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲
や
▲▲▲ ▲ ▲▲▲
のように短期記憶の最大値である4つを超えないようにすることでディスプレイが映える状態となり、通行客の認識率もあがります。
(下の構成では3つの▲を一つのグループとして認識するので真ん中の一つが目立ちます)
ちなみに歩いている状態でその店に入るかどうかの判断はよく10秒以下といわれています。これは歩く速度換算で10m〜15mほどの距離に該当します。つまり、10mほど歩いている間にほとんどの店舗は通り過ぎてしまうのでそのわずかな時間に興味を持ってもらい入店するか否かを判断してものが10秒とされています。
また、最近では脳の判断をMRIなどの機械を使って調べる実験などもされており、その結果は判断をする7秒前には脳処理で無意識に決定しているという結果が出ているそうです。
と、いうことは実質3mしか猶予はなく、さらに歩きながら目線を動かし、意識して留めない限りは1箇所につき0.3秒しかみていないともいわれています。
このような状態のフリー客に入店してもらうにはしっかりと認識されることが重要なので「適切な余白」によって認識率を高め魅力を感じてもらう必要があるのです。
「適切な余白」とは

では、すべての業種、すべてのブランドが同じ適切な余白かといわれるとそれは違います。
余白には感情に働きかける効果があるのでそれぞれ伝えたい、感じてほしいイメージによって変わってきます。
高級感や落ち着きといったイメージは余白を多く取り、ポップやカジュアルなら少なめの余白で賑やかなイメージを伝えます。
このようにそれぞれに適切な余白は変わるのでどのようなイメージにしたいかをしっかりと決めてから余白をどの程度つくるかを決めることで適切な余白ができあがります。
先ほども出ていたゲシュタルトの法則では、よくWebサイトやチラシなどの紙媒体などで使われるホワイトペーパーという余白がないと認識できずにゲシュタルト崩壊するよ!と、説明されています。
そこでは、余白が本質を目立たせるとありますので先ほどのディスプレイを目立たせるのに必要な余白はこの考えからきています。
話がそれましたが、適切な余白はこのように伝えたいイメージと仕掛ける意図(何を目立たせるか)によって変化するので臨機応変に作っていくが必要です。
まとめ
目立たせたい、たくさん見てほしいと今回お伝えしたような余白とは真逆の商品展開過多になってしまっているところも多いのではないでしょうか。
その原因は長く同じ売り場、同じブランドにいるとその環境に慣れすぎて余白がないことに気付けなくなってしまっている可能性が高いです。
よく僕自身も販売の頃にいわれていたのですが、とにかく自分の売場から離れてフロアを歩きながら新鮮な目線で売り場を見ることが必要です。
本当に商品展開量はこれでよいのか?見やすく余白は取れているのか?目立たせたい場所はしっかりと目立っているのか?などを常に外からの目線で確認して常に適切な余白がある状態にしてディスプレイが映えるようにしましょう。
その余白が入店客数や購買客数を伸ばすディスプレイの魅力を最大にしてくれます。